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【元通信会社社員解説】短期解約でブラックリスト入り?再契約不可は違法?スマホ短期解約だけが原因ではない?

スマートフォンの契約を短期間で解約した場合、ブラックリストに登録されるのではないかという懸念を持つ方々がいます。

この記事では、元通信会社社員が、短期解約のリスクや間違いやすいブラックリストの種類、総務省の見解について解説します。

携帯電話の短期解約が違法なのか、解約直後に再契約が不可能になるのか、実際のところはどうなのでしょうか。

詳細を見ていきましょう。

携帯電話(スマートフォン)の短期解約のブラックリストとは?

短期解約のブラックリスト

携帯電話(スマートフォン)を契約してから6ヶ月以内に解約をすることを、世間一般では「短期解約」と言われています。

短期解約と新規契約を繰り返すことでブラックリスト入りすると噂されていますが、実際のところどうなのでしょうか。

実際には、短期解約を繰り返すことで再契約(新規契約)を拒否されることはあります。

キャリアが再契約(新規契約)を拒否する主な理由は、「サービスを利用する意思がない」「怪しい動きをしている」と判断しているためです。

短期解約を繰り返している場合、転売もしくは犯罪などで利用しているのではと疑われたり、自社サービスを利用する意思のない契約(端末を安く手に入れるため)だと判断され、新規契約が見送られてしまうケースがあります。

しかし、転売目的ではなく、様々な事情や理由から短期解約をせざるを得ないときもあるため、短期解約だけを理由に契約を拒否されるのは不当なことだと感じます。

参考【検証】スマホ乗り換え後すぐ解約はブラックリスト入り?短期解約を実際にしてみた結果どうなった?

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短期解約のブラックリスト基準は明確化されていない

各キャリアの短期解約によるブラックリストの判断基準は、明確化されていません。

また、ブラックリスト入りしてしまった場合、どの程度の期間でブラックリストが解消されるのかもわかっていません。

もちろんショップスタッフにも契約拒否理由を明かすことはないため確実なことは不明ですが、筆者の経験上短期解約を繰り返すことによるブラックリスト入りは実際にありま

「短期解約=6ヶ月以内の解約」と世間一般での暗黙のルールとなっており、6ヶ月間(180日)は継続して利用した方がいいと言われています。

しかし、この6ヶ月間(180日)という日数にも明確な根拠はありません。

短期解約がダメなわけではなく利用履歴が重要

短期解約を繰り返すことでブラックリスト入りしてしまう原因として、「サービスを利用する意思がない」「利益目的」「転売目的」「犯罪利用」などの可能性があると判断されてしまったからです。

通信環境やサービスに満足できなかったことで、仕方なく解約する場合もあるため、1度の短期解約でブラックリストに入ることは少ないです。

短期解約がダメなわけではなく、利用履歴が重要なポイントになります。

短期解約がダメなわけではなく利用履歴が重要

極端な例ですが、上記のように短期間でキャリア転出を繰り返している場合、キャリア側は「怪しい動きをしている」と判断します。

「なぜ短期間に転出を繰り返すのか?」「この時期に端末を安く購入できる機会があったのか?」「利益が得られるキャンペーンがあったのか?」など、キャリアは色々な視点から疑います。

このように短期解約について各キャリアの見方が厳しくなったのは、過去に大々的なキャッシュバックを行っていた背景からくるものです。


他社に乗り換えると数万円のキャッシュバックが手に入り、家族数人で乗り換えると○○万円が手に入るという、乗り換えろと、かなりのトクをするという時期がありました。

この時期に、利益目的で各キャリアへの乗り換えを繰り返し、キャッシュバックを手に入れるという方が多くいたため、厳しくチェックするようになったというわけです。

hachico

短期間で転出&転入を繰り返すのは、不自然な行動だと感じてしまいますよね。通信環境の問題ではなく何かの目的で転出&転入を繰り返しているのでは?と思っちゃいますね。

怪しい動きをしていると判断された場合、過去の利用履歴を調べて、契約の際に時間をかけて審査を行います。
対象の回線だけでなく、同一名義の別回線の利用履歴も調べられます。

とても稀なケースですが、判断材料としてショップスタッフへ申し込み者の怪しい点など利用目的の確認などの質疑が入る場合もあります。

怪しいと疑われないためには、「サービスを利用する意思があった」という日数「利用履歴を残す必要がある」ということです。


この「サービスを利用する意思があった」といえる日数が、世間一般での暗黙のルール6ヶ月間(180日)ではないかとされています。

この6ヶ月間(180日)という日数には根拠もありませんが、短期解約をしたとしても次のキャリアで6ヶ月(180日)以上利用すればブラックリスト入りの可能性は低くなります。

短期解約をしても乗り換え先で長く利用すれば、ブラックリストに入る可能性は低くなると考えられます。
仮にブラックリスト入りしていたとしても、乗り換え先で長く利用することで、ブラックリストから除外される可能性も◎

間違いやすい2つのブラックリスト

携帯電話キャリアで使用されるブラックリストには2種類あります。

「信用情報機関によるブラックリスト」「キャリアによるブラックリスト」の2種類です。

短期解約によるブラックリスト入りについては「キャリアによるブラックリスト」が関係しています。

信用情報機関によるブラックリスト

携帯電話の端末を分割で購入した場合、購入情報が信用情報機関に信用情報として登録されます。

遅延することなく支払いされているか、滞納されていないかなどの情報が管理されています。
また、携帯電話本体の分割だけでなくクレジットカードや各種ローンの支払い状況など、全ての信用情報が登録されています。

万一、遅延や滞納してしまった場合は信用情報に記録として残るため、今後クレジットカードや各種ローンの申し込みができない等の不便が生じる可能性があります。

信用情報機関によるブラックリストについては、短期解約ブラックリストとは関係ありません。

防犯ブザーがなった時にできる設定

「携帯電話の新規契約を申し込みをしたが端末の分割の審査に通らなかった」

このような場合は、信用情報機関で何らかの遅延や支払い未納などの情報が登録されており「信用できない」「支払いしてもらえないかもしれない」と判断されてしまっているため分割で購入することはできないということです。

このような場合では、端末を一括購入、もしくは端末持ち込みでの新規契約は可能ということになります。


指定信用情報機関のCIC

キャリアによるブラックリスト

携帯電話キャリアによる判断で契約ができないということが「キャリアによるブラックリスト」です。

各キャリアによってそれぞれ決まりなどが異なりますが、契約を拒否する際の判断基準は公開されていません。

各キャリアの中で契約に関する部署があり、その部署で契約可否を判断しています。

契約が通らなかった場合、ショップスタッフにも本人にもはっきりとした理由を明かすことはありません。

>>ブラックリスト入りする可能性がある行為
■短期解約を繰り返している
■おトクな割引施策を複数回利用して契約している

キャリアのブラックリストに入ってしまうと、新規契約の審査の段階で拒否され「総合的な判断で今回の契約はお断りいたします」と、拒否された理由も明かされないまま新規契約の審査に落ちてしまいます。

短期解約によるブラックリストについては、「キャリアによる判断でキャリアのブラックリスト」に入ってしまったということです。

防犯ブザーがなった時にできる設定

「携帯電話の新規契約を申し込みをしたが、今回の契約はお断りしますと契約を拒否された」

このような場合は、短期解約を繰り返したことによって「サービスの利用意思がない」「利益を余分に得ようとしているなどど判断されてしまい、このキャリアでは契約することができません。

このような場合、他社で改めて契約を申込みすれば契約できる場合もあります。

残念ながら、どのキャリアでも契約を拒否されてしまった場合、しばらく現在のキャリアで大人しくしているしかありません。
利用日数が長くなれば信用を取り戻すことができ、新規契約の審査に通る日がきます。

利用料金滞納だけではブラックリスト入りしない?

利用料金滞納だけではブラックリスト入りしない?

利用料金を滞納した場合は、ブラックリスト入りしますが一時的なものです。

過去の利用料金を滞納している場合、滞納している料金を支払うまで新たな新規契約はできませんが、滞納している料金を完済してしまえば、即日でも新規契約の審査に通ることが多いです。

ただし、端末の分割支払金が含まれていない利用料金に限ります。

端末の分割支払金が含まれている利用料金を滞納してしまうと、信用情報機関によるブラックリストとして登録されてしまうことがあるため、端末を分割で購入することができなくなってしまう可能性があるため注意が必要です。

よくある話

利用料金の未納や滞納は、キャリア間で共有されているため、未納料金のあるキャリアと新規契約するキャリアが異なる場合でも、新規契約の審査対象となります。

例えば、auで利用料金を滞納し完済していない状態では、ドコモの新規契約の審査にはもちろん通りません。
「auで料金の未納があるため新規契約はできない」とお断りされてしまいます。

総務省「契約拒否は違法」とする見解

2023年2月28日に総務省は「短期解約した人を契約拒否の「ブラックリスト」に入れることは違法になりうる」との見解を示しました。

「短期解約を理由として契約を拒否された」「短期解約行為を事業者側から勧められた」などの短期解約についての苦情が寄せられていることから、携帯電話キャリアに対して、このような運用について明確化することや代理店へ指導監督することを求めました。

総務省が出した意見まとめ

■「短期解約」を理由として契約を拒否することは、「正当な理由」に該当せず電気通信事業法第121条第1項に反している
■MNP転出手数料や解約手数料が不要となったことで短期での事業者変更は十分に考えられる
■「短期解約するとブラックリスト入りする」など、スタッフからの誤った案内は不実告知に該当する場合がある
■契約を拒否する事象などを明確化するべき

引用元:総務省「短期解約ブラックリストについて」

各キャリアは短期解約を理由に契約拒否は行っていないと主張

サービス利用意思を伴う手続きにおいて、短期解約のみを理由とした役務提供拒否は行っていない。また、販売代理店のスタッフに対し、短期解約をするとブラックリストに入るといった適切な案内を行わないように、周知指導を徹底している。(第42回:NTTドコモ)

販売代理店に対して、継続利用を求めるような案内を指示しておらず、そのような案内は認めていない。また、第39回会合を踏まえ、改めて販売代理店に対して注意喚起を行った。(第42回:KDDI)

不適切な案内が行われないように、販売代理店に対して注意喚起を行っている。また、当社では、短期解約のブラックリストの運用は全く行っていない。(第42回:ソフトバンク)

短期解約があったことのみを理由にお断りはしていない。(第42回:楽天モバイル)

000877865.pdf (soumu.go.jp)

各キャリアともに「短期解約を理由に契約拒否は行っていない」と回答しており、ブラックリスについては認めていません。

キャリア側は「短期解約しただけでは契約拒否は行っていませんよ」と主張していますが、「総合的判断により、今回のお申し込みは受付することが出来ませんでした。」と新規契約の審査が通らないということが実際にはあります。

短期解約だけを理由に契約拒否をしているのではなく、「サービスを利用する意思がない」「利益を余分に得ようとしている」可能性があると判断したから契約拒否しているのではないかと考えられます。

数年前までは、他社から乗り換えすると高額なキャッシュバックがもらえるというキャンペーンが横行していました。

利益目的の乗り換えも多く、短期間で解約されるとキャリア側からインセンティブがもらえなくなり代理店が損をしてしまうため、短期解約をしないようにと根拠のない案内が出回ったということも考えられます。


キャリア側も短期間で解約されると利益を得ることができないため、短期解約を繰り返している利用者には契約拒否をするという手段をとっていたのではないでしょうか。

まとめ

短期解約のブラックリスト入りについては、2023年2月28日に総務省が見解を示しています。

各キャリア主導で決められている短期解約におけるブラックリスト入りについて、総務省からの指導が入り改善される可能性が考えられます。

実際に短期解約を繰り返したために契約を拒否されたケースもありますが、短期解約がダメなわけではなく過去の利用履歴をみて判断されています。


携帯電話のキャリア間の乗りかえをしやすくするために、解約手数料やMNP転出手数料を無料化としたわけですから、自分に合ったキャリアを見つけるために短期解約をしてしまうことも考えられます。

各キャリアも顧客を獲得するために、キャンペーンを打ち出して安価で端末を購入できるような訴求をしているわけですから短期解約は仕方のないことなのではないかと思います。

総務省が見解を示したことで、キャリアも何かしらの対応や見直しを行っている場合、既に短期解約におけるブラックリスト入りは改善されている可能性も考えられます。

しかし、正式に改善策や対応策を求めているわけではないため、今後の総務省の見解に期待したいですね。

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