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ニュースなどで「勾留に耐えられないため釈放」といった言葉に、「耐えられないから出してもらえたの?」と不思議に感じますよね。
実際には「我慢できないから出してもらえた」という単純な話ではなく、法律上の手続きや身体の状態など、複数の要因が関係しています。
この記事では、勾留の仕組みや理由、過ごす場所、そして釈放に至るまでの流れをわかりやすく解説します。
「勾留に耐えられないため釈放」とは?
「勾留に耐えられないため釈放」とは、健康状態や精神状態が悪化し、勾留生活を続けることが難しいと裁判所が判断した場合に、勾留を停止または取り消して釈放されることを意味します。
刑事訴訟法第95条や第207条には、治療が必要な病気や精神に異常がある場合は、勾留の執行を停止できると定められており、この判断は人道的な観点から行われます。
2025年にJR山手線の車内で催涙スプレーを撒いて逮捕された女性が、「勾留に耐えられない」として釈放されました。
この場合、医師の診断で極度の精神的疲弊が確認され、勾留継続が困難と判断されたと考えられます。
このように、「勾留に耐えられないため釈放」とは単なる温情ではなく、被疑者の心身の健康を守るための法的措置です。
勾留された後の流れ
勾留された後の流れは、警察や検察の取調べを受けながら、捜査や証拠収集が進められます。
まず、逮捕から48時間以内に警察は被疑者を検察官に送致します。
この段階では、警察署の留置場に収容され、取調べが行われ、検察官はその資料や証拠を基にさらに調査を進め、勾留の必要性を判断します。
勾留期間は原則10日間ですが、検察官が身柄の拘束を続ける必要があると判断した場合、裁判官に対して勾留請求を行い、これが認められると、最大で20日間の勾留期間が設定され拘束を続けられます。
この間に行われる主な手続きは以下の通りです。
- 検察官による取調べと証拠確認
- 弁護士との接見(相談)
- 裁判所の審査による勾留延長の判断
- 示談交渉や謝罪の支援
- 起訴・不起訴の判断
- 裁判準備
最終的に検察官は、勾留期間中に被疑者を起訴するのか不起訴とするのかを判断します。
逃亡や証拠隠滅の恐れがなくなったと判断されれば、途中で釈放されることも十分にあります。
勾留される理由は?
勾留される理由は、主に逃亡や証拠隠滅を防ぐためです。
刑事訴訟法第60条では、勾留決定が可能となる条件が定められています。
- 被疑者が定まった住居を持っていない(住居不定)場合
- 証拠を隠滅したり犯罪の事実を隠そうとするおそれがある場合
- 逃亡、または逃亡するおそれがある場合
たとえば、事件後に他者と連絡を取り証拠を隠そうとする行動が見られたり、職業や住居がなく行方を追いにくい場合は、裁判所が勾留を許可する傾向があります。
一方で、住まいがあり、生活基盤が安定している場合は、勾留の必要性が低いと判断され釈放されるケースもあります。
要するに、勾留される理由は「逃げる可能性」や「証拠を壊す可能性」など、捜査の妨げになる行動を防ぐことに重点が置かれています。
勾留される場所は?
勾留される場所は主に「警察署の留置場」と「法務省管轄の拘置所」の2つです。
逮捕直後から勾留が決まるまでの間は、警察署内にある留置場に収容されます。
- 留置場
逮捕直後から起訴前の被疑者が拘束される場所です。
全国の警察署に併設されており、生活空間・食事・運動など、最低限の人権が守られ、警察官が日常の管理を行い、捜査も同時に進められます。 - 拘置所
起訴後の被告人が収容される施設で、法務省が運営しています。
代表的な例として東京拘置所や大阪拘置所があり、勾留生活が長期化する場合はこちらに移されます。
勾留される場所は捜査段階か裁判段階かで異なり、逮捕後すぐの段階では主に警察署内の留置場に収容され、勾留が継続される場合に拘置所に移動する流れとなっています。
まとめ
「勾留に耐えられないため釈放」とは、健康や精神面で耐えきれない状況になった人を守るための法的判断です。
身体的・精神的な限界が明らかになった場合、裁判所は人道的な観点から勾留の執行を停止します。
一方で、勾留の目的はあくまで逃亡や証拠隠滅を防ぐためのものであり、罰として行われるものではありません。
