解約時に解約金10,000円程請求されていた制度が廃止になり、携帯電話を解約する際は解約金0円~1,000円程度にしなくてはならないと総務省が定めました。
そのため、各キャリアは年間契約での縛りや、解約時の違約金などを廃止し、いつ解約しても解約金は0円で解約できるという流れになっていました。
楽天モバイルも解約金は0円で、新規事務手数料も無料なので、乗り換えのしやすさもウリでした。
しかし、2024年1月29日に楽天モバイルが、「利用意思がないと認められる回線への契約解除料(解約事務手数料)請求開始する」と発表しました。
「楽天モバイルが解約手数料請求開始する理由」や解約金について解説します。
短期解約防止策?楽天モバイル解約手数料請求開始のわけ
楽天モバイルは2024年2月21日(水)に「利用意思がないと認められる回線への契約解除料(解約事務手数料)の請求を開始する」と発表しました。
※2024年2月28日(水)に「利用意思がないと認められる回線」から「利用実態のない回線」に文言を変更されました。
解約手数料 | |
契約解除料(通常利用) | 0円 |
契約解除料(利用実態のない回線) | 1,078円(税込) |
最強家族プログラム適用の回線(利用実態のない回線) | 968円(税込) |
「利用実態のない回線」とは、申し込みから1年以内で利用している実態のない回線が対象となります。
簡単に言えば、全く利用している形跡がない回線で、通信状況や契約状況などから判断されると考えられます。
1年以内の解約でも利用していれば問題ないということですね。
今回、楽天モバイルが「利用実態のない回線」の解約手数料を請求する背景には、転売や短期解約を防ぐためだと考えられます。
背景には転売・短期解約を防止するため
楽天モバイルは、通信料金も安く新規事務手数料も無料で契約することができ、他社と比べて費用を抑えることができるので新期参入以降、契約回線数も大幅に伸ばしてきました。
また、ポイント還元、1円スマホの販売、端末価格も他社よりも安い、というようにおトクに契約できる要素が多々ありました。
その分、「端末を安く購入し転売する」「ポイント獲得のためだけに契約する」というような利益目的で契約し、短期解約するケースも多かったはずです。
他社を含めて何度も短期解約を繰り返している方に関しては、契約をお断りするケースもあったようですが、利益目的での契約や短期解約を完全に阻止することは難しいのが現状です。
今回の解約手数料を追加した背景には、少しでも転売・短期解約を阻止するためだといえるでしょう。
「数ヶ月使用してみたけど電波が悪いから他社へ乗り換える」というような1年以内の解約は、今まで通り解約手数料は発生しません。
参考【元社員解説】短期解約でブラックリストは違法?契約拒否の理由は?期間や基準について解説!
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楽天モバイルの解約手数料は短期解約防止に効果なし?
楽天モバイルが、1年以内の解約で利用意思のない回線に対して、解約手数料を1,078円(税込)を請求すると発表しましたが、正直なところ1,078円(税込)の金額では、転売や短期解約を阻止することは難しいと思われます。
しかし、総務省が定めている「電気通信事業法における消費者保護ルール」で、サービス解約時に違約金を請求する場合の上限は「1,100円(税込)」または「そのサービスの月額料金のどちらか低い方」と決められているため、これ以上の金額を設定することが難しいのです。
しかし、損害を生じさせた場合には、損害金の徴収を行うと約款に記載しているため、解約手数料1,078円(税込)以上の請求がなされる場合も十分考えられます。
楽天モバイルは、以前より、サービスの利用意思のない契約に対して、損害が生じた場合に損害金の徴収を行うことも約款に記載していました。
契約者が、本サービス利用の意志が無いにも関わらず本契約を締結したことにより、当社に損害が生じた場合、当社は、契約者に対して、別途当社が損害相当額として定める
rakuten_mobile_service_contract_clause.pdf
金額の支払いを請求することができます。また、本項に該当すると当社が合理的に判断した場合、当社は原則として本サービスの支払い手段として契約者が登録している支払
い手段により当該損害金の徴収を行うものとします。
実際に損害金を徴収されたという事例は無いに等しいですが、損害を生じさせてしまった場合は損害金も徴収されるということになりま
解約手数料1,078円(税込)だけで抑止効果はないと考えられますが、合わせて損害金の徴収が行われる可能性があることで、転売や短期解約を抑止につながる可能性はあります。
契約者数を増やしたいがために、他社から乗り換えの回線に対しての過度な値引きや特典などが、転売や短期解約を促進してしまっているのも原因だと思いますね。
まとめ
楽天モバイルが、「利用実態のない回線」の解約に対して解約手数料を設定する背景には、転売や短期解約を阻止するためであることがわかりました。
解約手数料を設定しているのは楽天モバイルのみで、au・ドコモ・ソフトバンクは、現時点で解約手数料を設定することは考えていないようです。
そもそも楽天モバイルは、新規事務手数料が無料で月額料金のコストもau・ドコモ・ソフトバンクよりもはるかに安いため、転売や短期解約されるケースが他社よりも多いのではないでしょうか。
普通に利用する意思のあるユーザーからすると費用面が安く済むことはありがたいのですが、利用意思のあるユーザーが損をしてしまうようなことにならなければいいなと思いますね。